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「社族授産」を進めて次の時代を拓く

終身雇用の論点は、いまやその持続が可能か否かではなく、その次を拓くために何が必要かを考え実行するフェーズに入っています。今を明治初期に匹敵する激変の時代として捉えなくては、進路を誤ってしまいそうです。企業に囲われている力を開放することが次の時代を作ります。
日経ビジネス2020年1月28日: リスク管理に鈍感なトップが捨て石にする「定年人材」
士族授産

後も自分で面倒を見る時代へ
「年寄りがいっしょに働いているから、俺たちはこの仕事を続けられる」。TV版の「黒部の太陽」のセリフと記憶しています。大学出のエンジニアが生産性を理由にシニアな現場作業員を外そうとしました。若い作業員が「トンネル堀りは、明日をもしれない命がけの仕事だ。そんな職場でも、年取るまで元気に働いている人間がいるから、俺も大丈夫だと思って働くことができる」と言ってシニアをかばったのです。
「後は面倒を見るから、命がけで働け」という時代は終わりました。今は、個人個人が、自分の能力、ライフステージ、ワークライフバランスを考慮して、自分でキャリアを積んで下さいという時代に向かっています。
早期退職の募集は、単なるコスト削減ではなく、既存の社員の意識改革の手段のひとつと考えます。その意味では、早期退職した方々の「その後」がより重要です。外に出て、自分に合った働き方を見つけ、ハッピーになる人が増えることが、社会を変えるのです。

「社族授産」を進める時
大企業で終身雇用を解かれた社員は、明治維新で失業した武士に通じる点があります。武士は藩のために先祖代々勤め上げ、禄を確保するという究極の終身雇用でしたが、維新により職を失いました。当初は給与に相当する手当を明治政府が支払っていましたが、財政負担が過大なため一時金で打ち止めにしました。結果、利子で生活できる一部の高級武士を除き、年齢によらず農工商へと転ずるしかなくなりました。当然、うまく転身できず失敗する武士も多くいたため政府は明治4(1871)年「士族授産」という政策を展開し、北海道の開拓や干拓の推進、起業資金(海外の記述を使った繊維業など)の貸し付けを行っています。また、士族の息女が四民平等の下、工女として働いたのが富岡製糸場(1872)です。農地拡大や新事業で「殖産興業」の礎を作った訳です。
企業の内部施策では対応に限界がある大転換の時期に遭遇してしまった以上、新たな可能性に向かって進むための環境整備も一方策です。「士族授産」ならぬ「社族授産」の諸施策により「この時代が次の時代の礎であった」と言わせたいシニアも多いと思います。50才、60才から余生ではないセカンドライフを始める社会が、次のモデルなのです。
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プロフィール

松下芳生

Author:松下芳生
JPスタイル研究所 代表:
関西企業で社会人キャリアを始めた後、経済学修士を取得。グローバルコンサルティングファーム(デロイト トーマツ執行役員)を経て独立。
「ストラテジーハンドブック」、「ITコンサルティング」「マーケティング戦略ハンドブック」等、共著書多数。

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