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ホンダは原点に戻る必要があるか

マン島のレースで優勝したのが1961年、F1優勝が1965年。いずれも半世紀以上前のことです。いずれも現在の延長とはかけ離れた目標を設定し、短期間で成果を出しています。そのため、シニアな識者のコメントには「原点回帰」の思いがつい溢れ出ます。ただ、それで悩みが解決するのでしょうか。
日経ビジネス2019年11月29日 マン島に残る原点 「挑戦」「スピード」取り戻せ
honda

「原点」とは何だろう
「原点」というひとつの言葉で「存在意義」と「成功体験」を混在させて使っている識者が多い点に問題があります。
「存在意義(英語で言うPurpose)」は、その通り「何のために存在するか」を示す普遍的な価値観なので、いつでも立ち返ることができます。「いったい今の自分は何を目的に、こんなことをやっているのだっけ」と迷ったときに戻るべきポイントです。ホンダでいうと、もっとも象徴的な言葉はWEBサイトの歴史ページの最初にある「これができたら、みんな喜ぶだろうなぁ」という創業者の言葉に象徴されています。
「ホンダらしくない」「小さな四角い車専門になってしまった」と引き合いに出されるN-BOXやFitは「それがあって喜ぶ人たち」に支持されて売れています。その点で原点に忠実な成功例です。

過去の成功体験には戻れない
60年代のマン島やF1の優勝を原点と称すならば、そこに返ることは不可能です。まず、それを経験した人が一人もいない空想の世界であることが理由です。次に50年の時を経て、大きくなった企業に50年前に返れというのは、それなりの経験を積んだ60才に25才の自分に戻って行動すれば成功できると言っているようなものです。社会経済環境も自分も会社も35年前とは異なります。経験していない以上、「返る場所」は自分で創る必要があります。「新たな原点を創れ」が、メッセージであるべきと考えます。

現状の期待に応えようとしてはいけない
ところが、新たな原点を作ろうにも「KPI(計数による)管理で雁字搦めになり動けない」、「分かっちゃいるけど変われない」という現実が立ちはだかります。現状のマネジメントの仕組みの背景には、現在のビジネスの成長や投資効率の向上への期待があります。また、過去にホンダへの期待値を醸成したファンもいます。これらの期待に応えることを最初におくと、雁字搦めになってしまい身動きが取れなくなります。

ではどうすれば良いのか
実はその答えはホンダの理念に書かれています。「自立とは、既成概念にとらわれず自由に発想し、自らの信念にもとづき主体性を持って行動し、その結果について責任を持つことです」。
もし、社内ベンチャーや新規事業提案、自己申告の制度があれば挑戦すべきです。それがダメなら、中で頑張るより外に出る方が早道かもしれません。米国でホンダジェットを一から作る方が既存の事業を変えるより、エネルギーを前向きに使え、簡単に違いありません。
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プロフィール

松下芳生

Author:松下芳生
JPスタイル研究所 代表:
関西企業で社会人キャリアを始めた後、経済学修士を取得。グローバルコンサルティングファーム(デロイト トーマツ執行役員)を経て独立。
「ストラテジーハンドブック」、「ITコンサルティング」「マーケティング戦略ハンドブック」等、共著書多数。

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