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Panasonicは10年後も存在しているか(1/2)

日本の家電メーカーが次々と外国資本に買われて行きます。中村名誉顧問はP社が衰退に向かっていると説いています。その一方で、同社を約30年前に辞めて2017年に出戻ったPanasonic CNS社長の樋口氏はCNSを変えつつあります。ふたつの記事から企業の変革を2回連続で考えます。
日経ビジネス 2019年10月30日:中村邦夫「日本の強みで米中にない産業を」

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「お前はもう死んでいる」
昨年、100周年を迎えた松下電器産業(現社名Panasonic:ナショナルは旧ロゴ)は日本的経営を形作った企業のひとつであったと思います。それは、松下幸之助の唱えた「水道哲学」であり、経営危機の時でさえ一人も解雇しなかったというエピソードに象徴されます。
ところが、「幸之助さんの教え」がP社を束縛しているように見えます。5年ほど前、前職でMITメディアラボ副所長の石井さんを招いて、クローズドで15名ほどのエグゼクティブクラスの方々とのセッションをホストしました。石井先生が「グーグルやアマゾンのようにソフト(情報)の仕組みを握るところが世界を制する。ハードはすべて末端の取り換え可能なデバイスにすぎない」といった主旨の発言をしたのに対し、敢然と「日本のモノ作りの強さや優れたハードの必要性」を唱え、反論したのがP社の方でした。
それに対する石井先生のお答えは、北斗神拳のケンシロウの決め台詞だった記憶があります。それから5年、情報を制する企業が圧倒的な優位を築いた感は否めません。

かつての強みが「束縛」になる
インタビュー記事で、中村名誉顧問がソニーを称賛していますが、事業構造の違い如実に差がでています。長年苦しんだS社ですが、2017年度の連結営業利益は7350億円であり、P社の3800億円の1.9倍です。7350億円の内、ゲームと音楽で3000億円を占めています(因みに金融は1800億円)。S社に対し、P社の営業利益のほとんどはモノづくりです。経営の優劣ではなく、自己変革という面ではS社が先行しています。
立ち返るべきところ(モノ作りの精神や金言)があるのは精神的な安定ですが、戻る場所があるゆえに飛び立てないのではと考え「束縛」という言葉を使いました。
中村名誉顧問が、破壊と創造を掲げ松下電器産業をPanasonicへ変貌させようと奮闘していた2000年~2003年(グローバルブランドをPanasonicに統一。社名から松下を外し、ロゴもナショナルを廃止した)頃は、まるで中村社長がドラゴンに立ち向かう騎士のように見え、どうなるのだろうとワクワク感持って注目していたものです。

それは「松下」に象徴される旧来の仕組み(企業文化、組織体制など)への挑戦であったと思います。しかしながら、インタビュー記事を拝見する限り、名や形を変えても本質的なものは残ったようです。何よりも中村名誉顧問の「日本の強みはモノを小さくすること」というコメントに変わらないものを感じました。
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プロフィール

松下芳生

Author:松下芳生
JPスタイル研究所 代表:
関西企業で社会人キャリアを始めた後、経済学修士を取得。グローバルコンサルティングファーム(デロイト トーマツ執行役員)を経て独立。
「ストラテジーハンドブック」、「ITコンサルティング」「マーケティング戦略ハンドブック」等、共著書多数。

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