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「Hospitality」と「おもてなし」の間には、彼我の隔たりがある

英国大使館で開催されたスポーツビジネスの招待セミナーに参加しました(英国人の友人でスポーツビジネスLen氏がパネラーを務めたのがご縁)。スポーツ発祥の英国で構築されたホスピタリティーは戦略を含む仕組みの総称であり、産業の一分野です。対して、おもてなしは目の前の顧客との一騎打ちに対する心構えや戦術が主体な気がしてなりません。
日本人々が「おもてなし」を磨いている間に、ビジネス機会を逃すのではないかと不安を感じています。
英国

新しいビジネス機会を掴めるか
 RWCに続き、東京2020で、円滑な大会運営能力と素晴らしい観客を世界に示すであろう日本は、これまでに増して魅力的な市場として、競技団体やスポーツビジネス企業に注目されます。日本がアジアのスポーツキャピタル(世界選手権やアジア選手権を開きたい中心地)になり、アジアで急激な成長が予想されるスポーツビジネスをけん引できる有望な機会です。
 この成長市場をものにするためには、「コトのマーケット」でも長い歴史を持つ欧米企業に伍して、競争と協働を行い、付加価値を日本(自社側)に取り込む仕組みを迅速に作ることが必要です(時間が無く、難しくとも)。でないと、ただの素材と部品の供給屋になってしまう可能性があります。日本企業の戦略性(売る方も、買う方も)が試されています。

まずは買う側の意識変革が必要
 日本企業が必要とする戦略性の第一優先は、買う側の意識改革です。スポーツビジネスの持続性を支える重要な収入がスポンサー契約収入です。観客の入場収入には増減があるのに対して、スポンサー収入は安定的であり継続性を見込まれるからです。
スポンサーシップを獲得した企業が、その権利を使って戦略目標を達成するための活動の数々をアクティベーションと言います。ロンドンオリンピック時に、公式スポンサーがどのような戦略を立て、いかに成果を上げたか、専門家であるLenと組んで調べました。2年前から準備が始まり、ROI算定の期間は大会終了の3~5年後までです。実は、スポンサーシップの効果がブランド向上や売上成長として現れるのは大会後なのです。その果実を取るためには戦略が必要になります。
 群れが集まった時に釣り糸を垂れても大漁の期間は限定的です。時間をかけて網を張り、大会で群れを引き寄せて、その後も網で囲いつつ群れを増やす算段を用意しておく感じでしょうか。

スポンサーが変わることがドライバーになる
 ところが、日本ではスポーツ大会の位置付けが、お祭りの協賛と屋台の出展、見物と飲食の域を出ないため、スポンサーシップを戦略的に活用して、ブランドの向上や新しい顧客の獲得、売上拡大をKPI(成果指標)にするという発想が欠けてしまいます。「結果を出すための投資」という位置付けでない以上、他社との差別化を図る必要はありませんし、経費はかけない方が良いという帰結になります。お金を出す側が費用対効果に無頓着では、産業を興しようがない訳です。残念ながら、今は双方がスポーツにROIはそぐわないことにしてもたれ合っている状態です。これを打開するには、既にスポンサーシップを持っている企業がROIを設定し、達成する成功例を作ることが近道です。
厳しいファンがチームを育てるように、効果を求めて投資をする結果に厳しいスポンサーが、代理店を始めとする日本のホスピタリティ関連企業を育てるのです。
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プロフィール

松下芳生

Author:松下芳生
JPスタイル研究所 代表:
関西企業で社会人キャリアを始めた後、経済学修士を取得。グローバルコンサルティングファーム(デロイト トーマツ執行役員)を経て独立。
「ストラテジーハンドブック」、「ITコンサルティング」「マーケティング戦略ハンドブック」等、共著書多数。

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